産総研北海道センター特許情報

発明の名称:石炭の液化法

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特許番号第2045786号
出願番号特願昭59-62631号
出願日昭和59年(1984)3月29日
発明者吉田 諒一、 吉田 忠、 横山 慎一、 中田 善徳、 成田 英夫、 奥谷 猛、 長谷川 義久、 後藤 藤太郎、 前河 涌典、 宮沢 誠
出願人工業技術院長
特許権者工業技術院長

発明の目的: 石炭液化プロセスにおいては、石炭ペーストを銅製するための媒体油として従来石炭液化生成重質油が用いられてきたが、本発明では優れたフリーラジカル・スカベンジャー能および水素供与能を有するシェール油を媒体油として用いることにより、低い水素消費量およぴガス化率、かつ、高い油分収率を可能とする新しい高効率な石炭液化プロセスを提供する。

発明の効果: 媒体油としての石炭液化生成重質油の循環ラインが不要となるため、液化プロセスの簡略化が可能となる。石炭液化過程において、シェール油の水素化および脱窒素化が同時に進行し、シエール油の改質を可能にしている。このことは、シエール油に限らず、オイルサンドビチューメン、石油系残油や有機系廃棄物との共処理(Coprocessing)の可能性を示唆している。

発明の概要: 本発明は石炭を液化するに当たり、媒体油としてシエール油を用いることを特徴とする石炭の液化法を提供するものである。原料石炭としては、たとえば、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、亜炭、およびこれらの混合物などの微粉石炭を用いることができる。また、触媒としては、通常の石炭の液化処理に用いられている赤泥、鉄鉱石、ニッケル鉱石などを使用しうる。媒体油として用いるシェール油と石炭との混合割合は、重量比で0.5:1ないしは4:1の範囲が望ましく、さらに好ましくは1:1ないしは3:1の範囲である。

媒体油 反応温度
(℃)
反応時間
(分)
生成物分布(重量%、無水無灰炭基準) 転化率
( 重量%、無水無灰炭 基準)
水素消費率
( 重量%、無水無灰炭 基準)
ガス 油水+水 アスファルテン
比較例 アントラセン油 400 16 4.64 52.49 21.70 78.83 2.43
61 6.75 60.12 21.54 88.41 3.17
121 7.07 63.66 16.87 87.60 4.15

450

11 11.74 75.52 3.52 90.78 4.71
60 16.10 74.90 0.91 91.91 7.17
117 19.39 72.25 1.42 93.06 8.10
実施例 シェール油 400 20 5.26 49.57 18.68 73.51 2.77
63 6.33 57.52 19.65 83.50 1.91
121 8.37 64.36 13.21 85.94 4.37
450 15 8.02 79.67 3.62 91.31 3.37
63 11.31 79.07 1.03 91.41 5.54
123 9.64 81.50 0.51 91.65 5.60

関連文献:
1) Coprocessing of coal and shale oil, R.Yoshida, M.Miyazawa, Y.Maekawa, Chemistry Letters, p.1113(1984)
2)ワンドアン炭の液化反応、宮沢、吉田(諒)、吉田(忠)、横山、中田、前河、燃料協会誌、64, 107(1985)
3)Battle River coal liquefaction and its coprocessing with tar sand bitumen, R.Yoshida, M.Miyazawa, Y.Maekawa, Bull. Chem, Soc. Jpn ., 60, 369(1987)
4)Shori coal liquefadion and its coprocessing with petroleum residue, R.Yoshida, H.lshiguro, S.Yokoyama, Y.Maekawa, Fuel Science &Technology Int'l., 6, 109 (1988)
5)石炭とオイルサンドビチューメンとのコプロセッシング、吉田(諒)、石黒、宮沢、成田、吉田(忠)、前河、日本化学会誌、P.1013(1995)
6)Colombian coal liquefaction and its coprocessing with Venezuelan crude oil, R.Yoshida, H.lshiguro, H.Nagaishi, S.Honma, H.Narita, T.Yoshida, Y.Maekawa, Y.Mitarai, F.Mondragon, Energy Conversion & Management, 40, 1357(1999)