特許番号 | 第1557097号 |
---|---|
出願番号 | 特願昭59-17379号 |
出願日 | 昭和59年(1984)2月1日 |
発明者 | 成田 英夫、 吉田 忠、 吉田 諒一、 横山 慎一、 長谷川 義久、 上田 成、 奥谷 猛、 半田 善徳、 後藤 藤太郎、 前河 涌典 |
出願人 | 工業技術院長 |
特許権者 | 工業技術院長 |
発明の目的: 石炭液化油から付加価値の高い成分であるフェノール類、 含窒素有機化合物を分離・利用することは、後段の改質工程における水素の消費抑制にもつながり液化プロセス全体の経済性向上に資する。このため、抽出溶液の濃度を段階的に変化させ、低分子の化合物から高分子の化合物まで順次抽出する方法を考案した。
発明の効果: フェノール類の抽出ではアルカリ溶液の濃度を段階的に変え、含窒素化合物の抽出では酸素溶液の濃度を段階的に変えて抽出した。フェノール類の抽出結果を例にすると、第1回目ではフェノールが65%以上、残液に対して同一濃度での第2回目抽出ではクレゾールが主成分となり、その後同一濃度による抽出、濃度を濃くした抽出において順次高分子の酸性化合物が得られた。
発明の概要: 石炭液化油にはフェノール類や含窒素有機化合物等のいわゆる極性化合物が多量に含まれている。液化工程ではこれらの極性成分を含めて、改質と呼ぶ二次的な水素化工程に供給するため、極性基が水素化して水素消費量を上げる。この改質工程における水素消費量を低減させるためにもあらかじめ極性化合物を除去することが必要である。さらに、これらの極性化合物は化学原料、医薬原料として付加価値が高く、これを抽出分離し利用することによって経済性はいっそう高まる。しかし、これらの極性化合物は単一化合物から成るのではなく、低分子から高分子に至る分子量分布を有しており、これまでのタール産業における方法では、分離してからさらに精製分離する必要があり、このために複雑な工程を必要とした。本法では、これに対し、抽出して、後段の生成・分離工程の負荷を低減させるものである。
図面:
本特許に基づいて実施した結果(横軸は回数と抽出液濃度、縦軸は抽出されたフェノール類の推移、m/e=94はフェノール、m/e=108はクレゾール、以下ジメチルフェノール等)