TN19 石炭灰を原料とするけい酸カリ肥料の製造法

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内容の要約

 現在石炭火力発電用の石炭量は約1000万トンであり、今後の増設を考えると一層増加する状況にある。この石炭火力の最大の廃棄物は、電気集じん機で捕集されるフライアッシュであって、使用炭の平均灰分を20%とすれば、その排出量は150〜200万トンを超えることになる。フライアッシュは、概ね200メッシュ以下の球状粉体で、主成分はSiO2である。現状では排出量の一部はセメント混和剤として用いられているが、その他は未利用のまま埋立処分に回されているので、この利用法の開発は一層望まれるところである。そのひとつとして、フライアッシュを原料とする肥料の製造が試みられているが、その製造法において、あらかじめ原料に、燃料として微粉炭を混合し、自然法によって流動焼成をする方法を開発したので、その経過を報告する。

 この方法は既に、電発プライアッシュKK磯子肥料工場において使用されており、期待通りの実績をあげている。また、操作上からも極めて安定しており、十分スケールアップに耐えることができる。特徴的な点をあげると、(1)灯油燃焼炉の熱風による焼成法に比べて燃料費が格安になること。(2)製品のく溶率が高いこと。(3)熱風方式では、分散板及び原函が著しく高温になる点が難色であるが、この方法では、たかだか300℃で、装置保持上も有利である。(4)ただし、微紛炭混合のため前処理の容量は増加することになる。

詳しい内容

 1.フライアッシュ

 フライアッシュの成分は、石炭によりやや異なる。ここで用いたものは、太平洋炭のフライアッシュであって、分析値は第1表の通りである。

 2.製造プロセス

 製造プロセスの全容は第1図に示した通りであるが、そのプロセスの中心となる燃成法について、種々検討した結果この研究において開発された「微粉炭巻き込み流動燃焼法」を採用した。

 3.焼成法

 原料は第1図からも分るように、[1]フライアッシュ、[2]水マグネシウム又はドロマイト、[3]微粉炭、[4]苛性カリが、最終製品の成分を想定して配合される。粒度は2〜3oである。

 焼成装置は流動層であって、パイロット段階の概要を第2図に示した。流動層を採用した大きな理由は、1)温度制御が精密に行われ、温度分布も少ないので安定した製品が得られること。2)不動部分が少ないのでクリンカーの発生がない。3)熟収支も良好であるなどである。

 この実験用流動層について概略の説明をすると、塔径6、塔長1mのベンチスケールのものである。分散板は単板に2oの穴を開孔比1.5%に開けたものを用いた。また製品は、主として溢流管から得られるが、その位置は分散板から25pのところについている。運転方法は、スタートにあらかじめ電熱を用いるが、400℃を越すと、包臓した微粉炭が燃焼を始めて昇温するから電熱を切り、所定温度に達したならば、供給量制御によって自動運転に入る。実装層ではスタートの場合は、別に熱風発生炉をもっているが、基本的な差はない。

 4.けい酸カリ肥料

 けい酸カリ肥料の試作品は、数年間にわたって、全国の農業試験場などで試験が行われた。その結果、肥料として、非常に優秀なものであって、次のような癖徴があることが証明された。

 (1)濃度障害がない緩効性肥料である。

 (2)土壌条件に左右されないので、どんな土地にも施肥できる。

 (3)作物の根を丈夫に育て根群の発育を良くする。

 (4)施設園芸や、追肥の困難なマルチ栽培に効果がある。

 (5)イモチ、ゴマハガレ病の発生を防ぎ、畑地の土壌伝染病や、ネコブセンチウに対する抵抗性等に効果が期待される

 (6)野菜、果実、花奔等の作物体内の塩基性バランスを良くし、輸送中の「しおれ」や荷いたみを少なくする。

 また、水耕栽培で実験した結果も、分ケツ率の向上とか、倒伏防止等、良好な結果を得ている。

 特長

 けい酸カリ肥料製造の基礎試験の結果によると、焼成温度と滞留時間によって、く溶性カリ、特に可溶性けい酸の量が著しく変化することがわかった。公定規格を満足するためには、これらの条件を充分に満たすような焼成法が必要となり、その点から流動焼成法が選定された。しかも、重油を使わないで、原料に石炭を混練する方法が開発されたのである。

 この方法は、コスト的にも、装置的にも、また製品の品質からも最善の方法である。

応用分野

 他の肥料、あるいは無機物の焼成法に応用できる

特許

 ○ク溶性けい酸カリ肥料製造方法(特願)1057768

 

成分SiO2Al2O3Fe2O3 CaOMgOK2OB2O3
含有率47.4520.037.088.381.391.150.73


第1図 製造プロセス
TN19F1.gif

第2図 装置

TN19F2.gif

1. 流動焼成炉

2. 分散板

3. スクリューフィーダー

4. 可変速モーター

5. 製品受器

6. サイクロン

7. リングブロワー

8. オリフィス流量計