マイクロカプセル化相変化物質スラリーの強制対流熱伝達特性-円管内乱流-
山岸康志/ 菅野智久/ 武内洋/ ピアテンコA.T.
1999年1月 北海道工業技術研究所報告(化学工学論文集24巻より転載) 72,20-28
マイクロカプセル化された相変化物質を水に混合したスラリーについて円管流路内での乱流熱伝達特性を実験的に評価した。
カプセルに含有される相変化物質の固-液相変化に伴う潜熱のためにスラリーの熱容量が増大することに加え,相変化物質の融解に伴う潜熱吸収が管壁とスラリーの熱伝達係数に及ぼす影響について検討した。
管壁を等熱流束で加熱した流路内で十分発達した乱流の熱伝達係数を局所的に求めた結果,相変化に伴う熱伝達係数の増加,すなわち伝熱促進効果が認められた。
実験においてスラリー流量,粒子濃度および単位時間あたりの加熱量を変化させた結果,熱伝達係数の増加量は流れのレイノルズ数,固相状態の相変化物質の濃度および加熱量に依存する値となった。
これらのパラメータと伝熱促進効果との関係を検討した上で乱流における伝熱促進のメカニズムについて考察を行い,スラリーを用いたシステムの最適運転条件に関する検討を行った。