微小重力下における粉体輸送
大嶋政弘/ 山田浩之/ 村岸治/ 藤森紘明/ 松村宏之
1998年2月 北海道工業技術研究所報告 70,45-55
ガス搬送装置の設計では消費動力の低減が重要な検討要素のひとつであり、電力リソース等の制限が予想される宇宙空間への適用にあたっては、粉粒体の供給点から回収点までの搬送管路の圧力損失のよりシビアな把握・予測が必要不可欠である。
ガス搬送では搬送管路内の流れの状態は固気二相流であるが、流動の挙動を決定するパラメータ(粒子/ガス物性、固気比、固気速度比、ガス流速等)が多く、またそれらが複雑に関連しあっているため統一的な理論式による状態の表現が難しい。
このため地上既存の推算式では重力の存在を前提に、重力項を包含する係数や無次元数との関連づけ(相関)に依った経験則的な取り扱いによって圧力損失の把握・予測がなされており、従って重力が微小となるような宇宙環境下へはそのままの形で適用が難しい。
そこで本研究は、μG環境下でのガス搬送の適用を考え、搬送管路の圧力損失を対象としてμG下での現象を実験的に把握し、さらに、地上既存の推算式にもとづく予測値との比較から地上重力下での予測値や実測値との差違を明らかにする。
曲管部については、圧力損失と内壁の摩耗の低減を図ることを目的とした方策(曲管部内へのエアレーション付加)について特性等の確認も併せて行う。