タイ国産褐炭の流動層による燃焼特性及びガス状汚染物質の発生とその抑制
Wisut,W./ Suarez,O.J./ 細田英雄/ 平間利昌
1998年2月 北海道工業技術研究所報告 70,14-20
直径が16cmで高さ3mの気泡流動層燃焼実験装置を使って硫黄含有率の高いタイ国産褐炭の燃焼特性,及びNOx,N2OとSO2の発生特性と抑制法を実験的に検討した。
実験条件は燃焼温度が1070〜1120K,空塔ガス速度を1m/sとした。
また,流動化粒子には硅砂を使い,炉内脱硫実験にはタイ国産の石灰石を使った。
上記の温度条件での燃焼効率は99%以上に達した。
燃料中窒素からNOxとN2Oの転換率の和は燃焼温度によらずほぼ一定であったが,温度の上昇によってNOxは減少しN2Oは増加した。
二段燃焼法の適用はNOx発生量の低減に対しては大きな効果を発揮したが,N2Oの低減にはあまり寄与しなかった。
NOxの低減に最適な一次空気の分配比は約0.8であった。
Ca/Sのモル比を2以上にすればSO2の炉内除去率は90%以上になったが,二段燃焼法の採用および流動化粒子層内の酸素濃度の低下に伴って脱硫率の低下が認められた。
最終的な結論として,炉内に石灰石を供給し二段燃焼法を適用した流動層燃焼法を採用すれば,燃焼効率が十分に高く,さらに,NOxとN2Oの発生量が100ppm程度で脱硫率が90%以上の条件での燃焼が可能になることがわかった。