改良型3段燃焼法(ITS)による気泡流動層石炭燃焼装置からのN2OとNOx発生量の同時低減
-最適操作条件と反応シミュレーション-
平間利昌/ 細田英雄/ 中西治/ 澤田由佳子/ 二宮義彦
1997年5月 化学工学論文集 23,413-420
流動層石炭燃焼においては,従来からその対策が重要視されてきた酸化窒素(NOx)に加えて,オゾン層破壊と温暖化の原因物質としての亜酸化窒素(N2O)の発生抑制が課題になってきている。
本研究では気泡流動層石炭燃焼装置からのNOxとN2O発生量の同時低減に対して,燃焼法改善など種々の方法を検討した。
その結果,燃焼用空気を3段階に分割供給し,二次空気と一緒に付加燃料を供給してフリーボードの温度を酸素不足状態で高温化する改良型3段燃焼法(ITS)が最も有効であることが明らかになった。
内径が16cmの装置で改良型3段燃焼の最適操作条件を検討し,一次燃料に対する一次空気の量論比を1程度,二次空気を付加(二次)燃料に対する量論比で0.7程度とし,二次燃焼域の温度を925℃以上に保てば,N2O発生は約90%,同時にNOxは約60%低減された。
このような反応を素反応燃焼モデルで解析した結果,N2Oの低減には高温還元雰囲気の二次燃焼域での熱分解を含めた気相反応が,さらにNOxの低減にはチャーとの気固反応及び気固接触反応が寄与していることがわかった。