流動層応用技術

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平間利昌
1997年11月 工業技術 38(11),26

 砂のような固体粒子を充填した層の下から上向きにガスを流すと,個々の粒子には浮力とガスの流れに伴う抗力(粘性力・慣性力)が働く。 そしてガスの流れがある一定の速度に達すると,浮力と抗力の和が粒子の重力と釣り合い,粒子はいわば無重力状態のようになる。 このガス速度を流動化開始速度と呼び,ガス速度をこの値以上にすると,気泡が発生して層内を上昇し,粒子層全体があたかもお湯が沸騰したような活発な流動化状態になる。 これがいわゆる気泡流動層の状態であり,優れた物質移動と熱移動特性を持つ固体粒子と流体との接触装置として機能する。
 ちなみに,流動層では流体に曝される固体粒子の表面積が,1m3の粒子層体積当たりピラミッドの表面積に相当する3万m2にも達する。 化学反応装置としての流動層では,固体として触媒粒子を使う場合が多く,乾燥や焼成プロセス等では固体粒子そのものが製品になる。 他方,燃焼・焼却やガス化等のように,固体粒子が最終的には消滅する場合もある。 流体はガスまたは液,あるいはその両者の場合もあり得る。