Flow Microcalorimetric Study of Methanol Adsorption from n-Hexane on Coals
(流通式微小熱量計による石炭表面上のメタノールの吸着挙動)
Wang,N./ Sasaki,M./ Yoshida,T./ Kotanigawa,T.
1997年12月 Energy & Fuels 11,1293-1298
石炭粒子表面とメタノールとの相互作用を流通式微小熱量計により検討した。
本論文では吸着サイトを特定するために2種類の吸着方法を採用した。
ひとつは連続式吸着法で,これはメタノールのヘキサン溶液(2g/l)を連続的に石炭粒子層に供給し,発生する熱量が飽和に達するまで続ける,という方法である。
この手法により,石炭粒子中のすべての吸着サイトが判明する。
もうひとつは,パルス導入法であり,これは一定量のメタノール溶液を試料層に導入後,直ちにヘキサンに切り替える,という方法である。
ここでは,メタノールの吸着とその後のヘキサン導入による脱着という2つの過程が連続的に起きており,ここで得られた吸着サイトは先に示した連続式よりもより強い吸着サイトであるということができる。
ここに示した2種の吸着法を適用することにより,石炭粒子表面とメタノールとの相互作用をおおまかに2つに分類できることが判明した。
石炭試料は酸素含有量が異なる赤平およびヤルーン炭をそれぞれ用いた。
連続式吸着法で得られたメタノールの吸着プロファイルは,石炭構造の違いによらず同一のパターンを示した。
パルス法で得られた強吸着サイトのモル吸着熱は30-60kJ/molであり,これらの値は石炭中の水素結合の値よりもやや大きな値である。
おそらくこれらの値はメタノールと石炭の水素結合活性サイトとで新たな,かつより強い水素結合を形成したためと考えられる。
一方,比較的弱いサイトのメタノールのモル吸着熱は約23kJ/molであった。
酸素含有量の多いヤルーン炭の強吸着サイトは赤平炭に比べ,エネルギー的に幅広く分布しており不均一であることが明らかになった。