Activation of serum response factor in the liver of Long-Evans Cinnamon (LEC) rat
(LECラット[ロング・エヴァンスシナモンラット]の肝臓中における転写因子・血清応答因子[SRF]の活性化)
Maeda,Y./ Taira,T./ Haraguchi,K./ Hirose,K./ Kazusaka,A.
1997年11月 Cancer Letters 119,137-141
ウィルソン病のモデル動物であるLECラット(ロング・エヴァンス シナモン ラット)は,遺伝的欠陥により肝臓中に大量の銅を蓄積し,それが原因となって肝炎および肝臓癌を発現するラットである。
このラットの肝臓癌発症の機序解明を目的として,肝細胞核に含まれる転写因子のDNAへの結合活性を調べた。
このラットの肝臓に含まれる幾つかの転写因子中,特に血清応答因子(SRF)のDNA結合活性は対照モデルであるウィスター・ラットのそれより約2倍高いことが見出された。
しかも,そのDNA結合活性強度は,核に含まれている銅濃度に比例することが明らかになった。
一方,他の転写因子であるSplのDNA結合活性は両ラットとも同レベルであった。
これらの結果から,SRFはproto-oncogeneであるc-fosの誘導を介してLECラット肝臓癌発症に重要な役割を果たしていることが推測され,さらに,肝細胞核に含まれる銅がそのSRFの活性化に関与していることが明らかになった。