「ジャガイモ」から生分解性ポリマーの原料をつくる

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森田幹雄
1996年6月 通産ジャーナル 29,72-73

 「ゴミ処理」問題と「資源」問題から、これまでに多くのプラスチック廃棄物の再生利用技術が開発されてきたが、いまだプラスチック廃棄物処理問題は解決するに到っていない。 このため、使用廃棄後自然界の微生物によって分解されてしまう生分解性プラスチックが多々開発され、実用に供されたものもある。 これらの生分解性プラスチックの一つにポリ乳酸がある。 ポリ乳酸は石油から合成されるポリエチレンやポリスチレンと同等の強度と成型性をもつのみならず完全な生分解性であり、合成原料が再生可能なバイオマスから十分な量で誘導できるなどの利点があることから、汎用性の生分解性ポリマーとして有望視されているものの一つである。 ポリ乳酸は食品などに含まれる乳酸から合成され、とくにL-体といわれる立体分子構造の乳酸から得られるものが優れた特性を示すため、L-乳酸が合成原料になる。 しかし、このL-乳酸はわが国では生産されておらず、しかも発酵法によらなければ製造できない。
 この発酵原料に北海道の特産品である「ジャガイモ」澱粉を活用できる。 北海道の「ジャガイモ」生産量は二五〇〜二八〇万t/年であり、生産余力も十分にある。 しかしながら、自由化を迎えてさらに農産物の減産を迫られている状況下にあり、需要を拡大して北海道農業の活性化を図ることも必要になっている。