石炭科学基礎論(III)-石炭液化と反応機構-
永石博志
1996年1月 日本エネルギー学会誌 75,49-55
石炭液化は固体の石炭を分解によって,液体燃料あるいは化学原料へ変換するプロセスである。
これには大別して,乾留法,間接液化法および直接液化法がある。
乾留法は加熱により液状生成物を得る方法であるが,液収率が低い。
間接液化法は石炭をガス化により一酸化炭素と水素に変換してから,炭化水素を合成する方法である。
これらの方法に対して,直接液化法は石炭を水素化分解して直接液体燃料を得る方法であり,液状生成物を最も高い収率で得ることができる。
多くの直接液化反応器内は高温高圧の気液固三相系となる。
本稿では石炭直接液化反応器内で進行する液化反応とその反応が進行する反応場について述べる。
なお,紙面の都合上詳細は省略するが,液化反応全体の概念的なイメージを概略する。