潤滑性・耐酸化性に富むGe・炭素複合体
森田幹雄
1996年1月 北工研ニュース 3(5),2-3
炭素材は耐食性、耐熱性、導伝性、潤滑性など多くの特異な物理的、化学的性質を持っているため、古くから広い分野で利用されてきた材料の一つです。
これらの性質は炭素の結晶構造や電子構造に負うところが多く、しかも多結晶体としての炭素の生成課程や結晶の成長度合、集合状態の多用性によって変化しますので、他元素や化合物を複合化させて炭素体の結晶構造や集合状態を変化させれば、性質を向上させたり、新たな機能を付与させた新たな炭素材の調製が期待できることになります。
著者らは、炭素、珪素、チタン、ゲルマニウム、ハフニウム等のハロゲン化物を添加することによってコールタールなどの芳香族類の重縮含を促進できることを見いだしたことから、この反応を利用した効率的な複合化炭素材の製造の可能性を検討してきました。
炭素繊維の製造可能なメソフェーズピッチの調製やGeI4を触媒として使用した場合に特異な機能を持った複合体を調製できることが分かりました。
ここでは、潤滑性に富みかつ耐酸化性の向上したGe・炭素複合体について紹介します。