IV族ハロゲン化物を触媒とする芳香族類の重縮合と複合化炭素材の製造に関する研究
-ZrCl4によるキノリンの重縮合と重縮合体の高温熱処理-
高橋富樹/ 広沢邦男/ 日野雅夫/ 森田幹雄/ 蒲生真一/ 武田新一/ 竹野昇
1996年1月 北海道工業技術研究所報告 66,50-57
本研究では,ZrCl4を炭素化促進剤として,ZrCl4と錯形成が予測されたキノリンを重縮合し,Zrを残留させた炭素複合体の調製を試みた。
すなわち,重縮合反応径路を明らかにするとともに,Zrの残留したキノリン重縮合物を高温熱処理した場合の残留Zrの形態変化と母材炭素のグラファイト化性,かつ,生成粉末状炭素複合体の反応性として酸化反応を検討した。
含窒素多環芳香族類の重縮合と炭素化の研究は,コールタールピッチ等のグラファイト化性に及ぼすヘテロ化合物の影響を明らかにする目的から三環以上の芳香族類について研究した例は多い。
また,炭素体骨格分子中に積極的にヘテロ原子を残留させることによって,新たな機能の発現を期待した炭素材の調製も試みられている。
しかし,触媒として用いた物質を触媒として機能させると同時に,積極的に残留させて複合体を調製しようとした試みは見られない。
一方,キノリンの重縮合反応機構については,塩化亜鉛を触媒とした検討例が報告されている。
ZrCl4を用いた本研究では,重縮合成分の量的変化や分子量分布の変化ならびに分別成分の詳細分析により,重縮合反応の進行過程を追跡しようとした。