IV族ハロゲン化物を触媒とする芳香族類の重縮合と複合化炭素材の製造に関する研究
-四塩化炭素中におけるアントラセンの重縮合-

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森田幹雄/ 広沢邦男/ 武田詔平/ 大内公耳
1996年1月 北海道工業技術研究所報告 66,7-13

 一般に,有機化合物の炭化重縮合は350℃以上の温度領域で検討され,水素に富む分子の揮発が先ず起き,C-HやC-C結合の熱的な切断によって促進される。 他方,より低温で起きる接触重縮合反応は,ラジカルや特殊な中間体を介在させて進行する。
 四塩化炭素は,特に金属の存在下,150℃以上で容易に塩素ラジカルと三塩化炭素ラジカルに解離する。 このため有機化合物を四塩化炭素にさらせば150℃という極めて低い温度領域で重縮合体に転化できることが予測され,これを確認した。
 本研究では,四塩化炭素によるアントラセンの重縮合を試み,反応温度,反応時間,使用する四塩化炭素量などの反応条件と重縮合体収率や光学異方性組織構造の発現などとの関係を明らかにしようとした。 さらに,本反応の機構を考察するとともに生成重縮合体の高温熱処理によるグラファイト化性をX-線回折法により検討した。