人工メタンハイドレートのラマン分光測定

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内田努/ 平野貴史/ 前晋爾/ 成田英夫
1996年11月 地質学雑誌 102,983-988

 メタンハイドレートが海底に広く分布し,天然ガス資源となりうることが指摘され,非在来型天然ガス資源として注目され始めた(松本ほか,1994). その中で最も重要な問題は,一体どれほどの資源量があるのか,という見積もりであろう. ハイドレート層がどこに分布しているか(水平分布),どれほど集積しているか(垂直分布),そしてガスがどれだけ含有されているのか(ガス含有率)といったことを正確に見積もらなければならない. 水平分布に関しては,BSRを用いた探査方法が最も一般的である. 垂直分布については,これまで地層中の温度・圧力条件と,ハイドレートの安定存在条件とを比較して予想されていた. しかしODPのLeg164による調査の結果,ハイドレートの垂直分布は予想よりもかなり複雑であることがわかってきており,垂直分布を正確に求めるには,現在のところ実際に掘削して調査するしか方法がない. さらにガス含有量に関しては,結晶構造から期待されるガス量を仮定するか,実際に掘削して得られた試料を分析するしか方法がない. 海底掘削を行うことによって垂直分布とガス含有量が求まるので,この方法がいちばん確実ではあるが,掘削点は広い分布域の中の1点にすぎず,この点における結果を全域に拡張することは難しい. 多点掘削を行えばある程度の分布を押さえることができるが,調査が容易に行えないし,依然他の地域に適応することは難しい. 筆者らはこうした資源量を推定するための基礎研究として,ハイドレート結晶のガス含有率に関する研究を行っている.