短時間微小重力下での混合アルコキシドからのシリカ・アルミナの合成
奥谷猛/ 中田善徳/ 鈴木正昭/ 永井秀明/ 下川部雅英
1995年3月 北海道工業技術研究所報告 64,32-43
微小重力(μ-G)環境下では,無対流,表面張力の影響が少ない,比重の異なる物質を均一に混合,安定分散できるなど,重力の存在する地上(1-G)では得られない状態が得られる.
このような環境を利用する事によって,重力下では合成が困難な材料の合成が期待される.
μ-G環境はスペースシャトル,ロケット,飛行機,落下塔などを利用して得られるが,一般の多くの研究者には経費及び実験機会の点に難点があり,μ-G環境を利用する研究は手軽には行えなかった.
しかし,1991年に,北海道上砂川町に,閉山した炭鉱の710mの立抗を利用して,10-4G,10秒の短時間微小重力場が得られる地下落下シャフト(地下無重力実験センター)が完成し,一般の研究者にμ-G環境を利用する研究の機会が手軽に得られるようになってきた.
本稿では,材料合成にとって微小重力環境が興味ある有効な手段であることを示すことを目的として行った均一混合金属酸化物の合成について紹介する.