燃焼合成を利用した急熱・急冷による複合合金の生成
鈴木良和/ 下川勝義/ 植田芳信
1995年3月 北海道工業技術研究所報告 64,12-16
落下施設を用いて金属材料の溶融による合金化を行うためには,短時間で微小重力場を有効に利用する必要がある。
例えばわずか10秒の間で均質な溶融状態をつくり出し,且つ凝固によるその固定化が求められる。
本研究では,その具体的な応用例として,Ti-Ni系の金属間化合物を対象にカプセルの落下中に自己発熱反応を誘起する事によって微小重力場で急熱による溶融状態とし,カプセルの着地前に冷却による凝固開始が可能な装置を試作した。
さらにこの装置を用いて落下試験を行い微粒酸化物を添加した炭素鋼の急熱溶融に燃焼合成熱を利用し,微小重力場と1-g下の地上実験による反応生成物の巨視的ならびに微小構造の相違について検討し,装置の性能と,得られた合金素材の特性について報告する。