賦活温度の相違による廃タイヤから製造した活性炭の性状
緒方敏夫/ 山口宗宏/ 佐山惣吾/ 井上英彦/ 岩本欣也/ 岡嘉之
1995年3月 北海道工業技術研究所報告 63,26-30
我国の廃タイヤ発生量は1992年で9200万(80万t/Y)に達している。
その大半は再生ゴム,再生タイヤおよびセメント焼成キルン用,金属精錬,製紙,ボイラーなどの熱源に再利用されているが,その約15%は未利用のまま,野焼きや不法没棄がなされているのが現状である。
廃夕イヤを熱分解すると25〜60%の油,30〜50%のチャー,残りのガスが得られる。
熱分解温度は450〜600℃である。
また一般に賦活温度は約850℃が選ばれている。
我国においてこの熱分解残査分チャーを水蒸気賦活により活性炭化するプラントが2,3カ所操業している。
細田らは活性炭の賦活温度(800,850,900℃)とその性状について検討している。
その結果850℃賦活のものが最も比表面積は大きく,900℃と高温になるとその値は減少する。
しかしより高温になった場合の活性炭の性状に関する考察はなされていない。
著者らは賦活温度が850℃と1100℃(輻射温度計で測定)の2種の廃タイヤを原料とする活性炭を用意し,高温賦活による性能低下の理論的検討を行う目的で,それらについて工業分析,灰分の化学分析,X線回折,BET比表面積,よう素吸着量,SEM観察を行い,賦活温度の相遅によるその性状について比較した。