石炭燃焼装置からのガス状汚染物質の発生とその抑制技術

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平間利昌
1995年3月 北海道工業技術研究所報告 63,1-11

 世界的には,一次エネルギー源に占める化石燃料の比率は約90%である。 その中で石炭は現在,約1/3を占めており,来世紀以降に向けて石炭への依存度はますます強まるものと予想されている。 化石燃料の中で石炭の資源賦存量が最も多いだけでなく,石油やオイルサンドのように地域的に遍在していないことも石炭への依存を強める大きな要因になっている。
 日本の実情をみると,1993年の統計による石炭の年間総使用量約1億2,000万トン(石油は232Gl/y)のうち,主なユーザーは使用量の順に,製鉄,電力,セメント製造,化学工業,コークス・ガス製造,そして紙パルプ工業である。 特徴的なことは製鉄用(コークス)の使用量が際だって多く,全体のほぼ半分を占めていることである。 従って,わが国の石炭の総使用量の推移は製鉄業の動向に左右されるが,少なくとも製鉄用を除いた,主に燃料としての石炭使用量が長期的にみて増加傾向をたどることは疑いない。 例えば直接燃焼の最大のユーザーである電力業では,1993年時点で12%であった石炭依存率を来世紀初頭には20%,発電電力量では10年間で2倍以上へと急激な増加を見込んでいる。
 直接燃焼による石炭利用では,必然的にガス状汚染物質,灰および微量重金属などの排出を伴う。 わが国は現在,排ガス対策では世界最先端の技術を保有しているといわれているが,世界的な石炭利用量の増加に向けて,これらの排出物による環境汚染対策を一層強化し,さらに開発途上国へこれらの技術を援助・移転する必要性も強まっている。 直接燃焼だけを対象とするものではないが,いわゆるクリーン・コール・テクノロジーの必要性はいまや世界共通のキーワードになっている。
 このような状況を踏まえ,本総説では日本における石炭ボイラの使用状況を分析し,直接燃焼によって発生するガス状汚染物質のうち,わが国がこれまで特に重要視してきた亜硫酸ガス(SO2)と窒素酸化物(NOx;NO+NO2)の発生特性と抑制技術の現状について概説する。 さらに,地球レべルでの環境との係りで近年問題になっている亜酸化窒素(N2O)についても研究の現状を簡単に紹介する。