オゾンによる殺菌機構

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神力就子
1994年3月 北海道工業開発試験所報告 61,15-36

 オゾンによる殺菌機構はかなり複雑である。 それはオゾン反応性が複雑であることを反映しているからである。 すなわちオゾンの反応性にはオゾンと化合物との反応速度に応じて特定の基質に対し優先性が生じる。 例えば反応の場にいくつかの基質がある時、まずその中のオゾンとの反応性の最も高いものがオゾンと反応し、それがほぼ消失して始めて次の反応性のものとオゾンは反応していく。 反応性の低い基質のオゾンによる分解はかなり遅れてくるが、もし、この基質しかなければ、これが真っ先に反応する。 核酸やタンパク質など高次構造体の場合には、構成単位の単体がもっている反応速度以外に位置特異性(表面か、中側か、束縛されているか、自由かなど)も加味されて反応の優先性が決まってくる。 その決定にはオゾンの濃度も1つの因子である。 低濃度オゾンの作用で見えていた優先性は高濃度では瞬時の反応の中に埋没して、何が決め手であったかを見損なうことが多い。 また、オゾンが作用する系のpHも重要である。 pHがアルカリ性では生成OHラジカルの寄与が高くなる。 中性、酸性域では基質の中の分極しやすい不飽和二重結合などへオゾンがイオン反応的に攻撃する。 ここでは生体物質とオゾンの反応なので中性域の反応を念頭において解説する。 また殺菌機構の解説としては、オゾンが第一義的に細胞膜と接触するのであるから膜構成成分とオゾンの反応をまず取り上げるのが順序であろうが、筆者らが行った核酸とオゾンの反応性の研究はオゾンの反応性の優先性や位置特異性を紹介するのに適しているので、オゾン反応の基礎を知る目的で最初にとりあげた。 筆者らは数年前に「オゾンによるバイオハザード防御の研究」を行った。 当時、核酸等とオゾンの反応に関する報文は殆どないという状況であったので核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドのオゾン反応性の検討から始めた。 ついでRNA、DNA、プラスミドDNAのオゾン分解、さらには大腸菌、夕パコモザイクウイルスなどの殺菌、不活性化等を検討した。