流通式熱天秤の開発
山口宗宏/ 佐山惣吾/ 西川泰則/ 上出光志/ 松田仁樹
1994年1月 北海道工業開発試験所報告 60,23-29
新たに開発したガス流通式熱天秤を用いて3種の気固反応、すなわち(1)固体燃料の着火、(2)生石灰の炭酸化、(3)ゼオライトの炭酸ガス吸着の熱重量分析を行った。
本装置は反応ガスを直接反応容器に導入することができるため、ガス境膜抵抗の影響がほとんど無視できる条件での実験が可能である。
直線状に接続した試料容器、支持管、および荷重変換器を垂直に設置し、可撓性パイプを通して支持管下部から反応ガスを導入する。
ガス導入に用いる可撓性パイプは気固反応時の試料重量の変化の検出には影響を与えない。
ガス流通式熱天秤を用いた実験結果と、従来型熱天秤での結果を比較し、次のことを明らかにした:
(1)固体燃料の着火温度を明確に測定することができる。
(2)流通式の方が生石灰の炭酸化反応の進行が速く、また反応が約400℃で2段階に分かれることが観察された。
(3)ゼオライトの炭酸ガス吸着の結果はほぼ同じであるが、従来型の方が初期の反応速度が速い。