Li2O3-B2O3-SiO2系ガラスとSi3N4の“その場”反応による窒化ほう素粒子分散結晶化ガラスの調整と性質

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鵜沼英郎/ 菊池敦/ 中川敏明/ 山本強
1994年1月 北海道工業開発試験所報告 60,1-4

 セラミックスの高靭化や機械加工性の発現などを目的として種々の粒子分散セラミックスの研究が行われている。 分散粒子の種類としては、Al2O3、ZrO2、SiC等多くの種類が考えられるが、なかでも六晶窒化ほう素(BNと略記する)は板状の晶癖を有しており形状異方性があること、へき開性があること、熱膨張係数が小さいことなどから、この粒子を分散したセラミックスの性質に興味が持たれる。
 しかしその反面、一般的には分散粒子をマトリックス内に均一に分散することが困難であることや分散粒子がしばしばマトリックスの焼結を阻害することがあるために、緻密な粒子分散セラミックスを作成することは必ずしも容易ではない。 多くの場合粒子分散セラミックスは一軸加圧焼結(ホットプレス)によって作られるが,その方法では板状などの単純な形状の製品しか得ることができず、また特に形状異方性のある粒子を分散しようとする時には分散粒子が特定方向に配向してしまうなどの不都合が生じる。
 本研究では、マトリックス内に粒子を均一に分散させ、かつ分散粒子による焼結の阻害を低減するための手段のひとつとして、B2O3を含むガラスとSi3N4の混合粉末を焼結させながら,ガラスの結晶化と固相反応によるBN粒子の析出を同時に進行させて,一工程でBN粒子分散結晶化ガラスを作成することを試みた。 また、得られた試料についてその機械的性質を調べた。 今回はBNの生成の様子を確認するための実験の結果について報告する。