新しい糖脂質分解酵素を見つけた

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泉和雄
1993年2月 新時代を築く-通商産業省工業技術院研究成果集- p64

 糖脂質は細胞膜を構成する重要な成分であり、免疫現象など、生命現象の担い手として注目されている。 したがって、人工生体等の材料、化粧品、抗ガン剤など次世代の医薬関連技術などに広範囲な応用の可能性を持った物質である。 この糖脂質を利用するためにその一部を分解し、切り離した部分を機能性を持つ基で修飾する技術が求められているが、安定なため化学的方法では困難であった。 本研究では、脂肪酸部分を切断するための新しい酵素を北海道サロベツ原野等寒冷地に生息する土壌微生物に求め、牛の脳を主成分とする培地で培養することにより検索を行った結果、目的とする酵素を発見し、利用への道を切り開いた。 これまでは、糖脂質脱脂肪酸酵素の詳細な研究は行われておらず、本成果は、糖脂質の新たな利用を含め、今後の進展が期待されている。