ファインセラミックス原料の省エネルギー的製造技術に関する研究
-籾殻の利用及び炭化物の性状-籾殻の利用とその経緯-
下川勝義/ 関口逸馬
1993年3月 北海道工業開発試験所報告 59,1-4
ケイ素を多く含む植物の中には,籾殻の他に同じ稲科の多年草で水辺に自生する葦が知られている。
葦は全世界に広く分布しており,中国には広大な葦の群生地がある。
しかし,これを工業原料として,いつまでも栽培する事には疑問がある。
それは,現在すでに広大な土地から得られている副産物である籾殻に対して,新しく葦を主栽培する事を目的にすると環境や自然界の調和を乱す事となるためと,すでに自然を破壊しない程度の小規模な利用,例えばスダレ等に利用されているからである。
米は全世界の1/3の人間が主食としており,この人達がいる限り,毎年必ず生産され,さらに,副産物として籾殻も又毎年必ず産出することになる。
このことは,籾殻を工業原料として利用できる可能性を示している。
また,この籾殻は太陽によって毎年得られるクリーンなバイオエネルギー型資源であり,地中に眠る枯渇型資源と異なり,再生産型資源として見ることができる。
まず,世界の籾米(paddy)生産量は約4億7000万トンといわれ,このうち,籾殻は(Rice Husk)は9400万トン生産(品種によっても異なるが,玄米生産量の約18〜20%と仮定)されている。
特に,日本,インド,中国を初めとするアジア諸国だけで,世界の90%を生産,消費されていると言われている。