北の新しいフロンティア

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奥谷猛
1992年8月 通産ジャーナル 25,67-67

 明治以後石炭鉱業は北海道の開発に長期間にわたり、かつ広範囲に寄与してきたわけであるが、昭和二十年代後半の石油への変換、安い輸入炭に押され、一四〇近くもあった炭鉱は、現在、数カ所の炭鉱のみが操業を続けている状況になっている。 道内の炭鉱はすべて地下での採炭で、地下七〇〇〜八〇〇mに及ぶ立抗が炭鉱の中心となってきた。 閉山のため必要がなくなった立抗を利用してユニークな施設が完成した。 これが上砂川に建設され、昨年十二月より本格的に稼働している地下無重力実験センターである。
 センターの施設は、工業技術院および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が行っている研究基盤整備事業の一環として建設されたもので、七一〇mの立抗を利用して、五一〇mの自由落下により一〇秒の地上の一万分の一の微小重力環境を作り出すことができる施設である。 長さ八m、径一・八m、重さ五トンのカプセル中に実験装置を搭載し、五一〇m自由落下させ、一〇秒の微小重力環境下で実験を行い、五一〇m落下地点で時速三六〇kmのスピードになるカプセルを壊さず安全に回収できる世界一の落下施設である。 ここで使われている技術は最新で、わずか一〇秒でもカプセルを制御するコントロールルームには最新の機器が埋まり、まるでロケットの地球中心への打ち下げ(?)である。