SDSミセル表面に吸着したNi2+の数分布

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相沢正之
1992年7月 日本化学会誌 1992,778-781

 1分子中に親水性基と疎水性基とをもつ両親媒性物質の多くは,水中(あるいは油中)において分子集合体を形成することが知られている。 界面活性剤や脂質などの低分子物質は分子間集合体であるミセルや二分子膜構造をもつベシクルなどを形成するのに対し,高分子物質である球状タンパク質は分子内で会合し,非常にコンパクトな立体構造で溶解している。 このような分子集合体は,それを構成する要素にはない集合体としての性質を示す。 界面活性剤ミセルによる親油性物質の可溶化や球状タンパク質の酵素機能などは,その代表的なものである。
 著者らは,このような分子集合体としての性質に注目し,新しい物質・材料を創製するための反応場として分子集合体を利用することを目指している。 現在,その基礎的研究として,最も基本的な分子集合体である界面活性剤ミセルを取り上げ,ミセル表面での分子間衡突反応を解析することにより,反応化学種の分子運動(拡散)の様子を明らかにし,ミセル反応場の特性を解明している。