低温と生物
扇谷悟
1992年9月 北海道通産情報 47(9),54-55
低温と生物という関係で最も有名なのは,「不凍タンパク質」と「氷核タンパク質」です。
不凍タンパク質は低温海域の魚が,氷核タンパク質は氷核活性細菌と呼ばれる微生物が作るタンパク質です。
水は普通0℃付近で凍りますが,おもしろいことに,不凍タンパク質が含まれているともっと低い温度でも凍らなくなり,逆に氷核タンパク質があると普通の水よりももっと凍りやすくなります。
この2つのタンパク質については非常に多くの人が研究を進めているので,かえって「低温と生物」という題目に当てはまる現象はこの2つしかないようにすら思われがちです。
そこで,この2つのタンパク質についてはまた別の機会で詳しく紹介することにして,ここではもっと「普通の」生物と低温の関係を紹介することにしましょう。