オキシナイトライドガラスの構造と性質に関する研究
-Li-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの液-液相分離-
鵜沼英郎
1992年12月 北海道工業開発試験所報告 57,24-27
酸化物ガラスには液-液相分離(分相と略す)がしばしば見られ、この現象については長い間研究がなされてきた。
例えば、多孔質の、あるいは緻密な高シリカガラスは、Na2O-B2O3-SiO2ガラスがSiO2リッチ相とNa2O-B2O3リッチ相とに分相することを利用して製造される。
また、分相は結晶化の際の結晶核形成を促進することがあり、結晶化ガラスの製造の際にも重要な役割を果たす。
オキシナイトライドガラスが結晶化する際には通常バルクからの核形成が起こる。
HayashiとTienはガラスへの窒素の導入が分相を促進する結果としてバルクからの核形成が起こるのではないかと考えた。
しかし、分相そのものに対する窒素の影響については知られていない。
本章では、Li-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの分相を調べ、Li2O-SiO2系の相溶性に対する窒素の効果を明らかにした。