オキシナイトライドガラスの構造と性質に関する研究
-アルカリ珪酸塩オキシナイトライドガラスの化学的耐久性-
鵜沼英郎
1992年12月 北海道工業開発試験所報告 57,20-23
これまでは、主として適当なカチオン組成を選択することによってガラスの化学的耐久性を向上させようとする試みがなされてきた。
これとは別に、アニオンの置換すなわち、一部の酸素を窒素で置換することによっても酸やアルカリに対するガラスの化学的耐久性を高めることができる。
それと同時に機械的強度、弾性率、耐熱性なども窒素の導入によって向上するので、オキシナイトライドガラスは例えば核廃棄物固化用ガラスなどに対して有望な材料であると考えられる。
しかしながら、窒素の導入によって化学的耐久性が向上することの機構についてはこれまで研究されていない。
本章では、R-Si-O-N(R=LiまたはNa)オキシナイトライドガラスの酸性およびアルカリ性水溶液における化学的耐久性を調べた。
これらのガラスの化学的耐久性に対する窒素の効果を、ガラス中のイオンの易動度の変化とガラス網目の共有結合性の変化の点から考察した。