オキシナイトライドガラスの構造と性質に関する研究
-29Si MAS NMRによるNa-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの構造の研究-
鵜沼英郎
1992年12月 北海道工業開発試験所報告 57,8-13
オキシナイトライドガラスの構造はIRやN1SXPSで研究されてきたが、これらの方法ではガラス中に存在する構造グループについての知見を得ることができない。
IR分光法はガラス中に存在するSi-N結合の存在を示すのみである。
XPSについては、ガラスの窒素含有量を高めることが困難なために、N1Sの光電子の強度が低く、一般には構造に関する充分な情報を得ることができない。
29Si MAS NMRは珪酸塩アニオンの連結性についての情報を与えるので、上記の方法に比べてガラス中の構造グループについてより多くの情報が得られる。
HaterらはNa-Si-O-Nオキシナイトライドガラスについて29Si MAS NMRの測定を行い、すべての窒素が3個のシリコンと結合していることを示した。
しかしながら、窒素含有量が少ないことと、彼らが用いたNa:Siの比が6:7付近のガラスでは異種の珪酸塩四面体のNMRピークの重なりが著しいために、充分に定量的な解析がなされたとはいえない。
本章ではNa-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの構造を29Si MAS NMRを用いて解析した。
ガラスの組成は過去の研究よりも定量的な解析ができるように選んだ。
得られた結果をMD計算で求めた構造と比較した。