オキシナイトライドガラスの構造と性質に関する研究
-梗概-

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

鵜沼英郎
1992年12月 北海道工業開発試験所報告 57,0-0

 本報告では、オキシナイトライドガラスの構造と性質に関する基礎的研究の結果を述べた。 具体的には、オキシナイトライドガラスの構造について、その組成との関連において考察し、また電気的・化学的性質、液-液相分離および結晶化に対する窒素の効果を調べた。 さらに、オキシナイトライドガラスを金属の保護膜などのガラス-金属複合材料に応用することを念頭におき、金属とオキシナイトライドガラスとの相互作用について研究した。 第1章では、Na-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの構造に関する分子動力学的研究について述べた。 特に、組成と、窒素の周りの局所構造との関連に重点をおいた。 密度、体熱膨張係数、体積弾性率の組成依存性を調べ、実際の系で観察されるそれと比較した。 第2章では、29Si MAS NMRを用いて実験的に調べられたNa-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの構造について述べた。 NMRの結果を第1章の分子動力学的研究の結果と比較した。 第3章では、Na-Si-O-NおよびLi-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの電気伝導度について述べた。 伝導度と伝導の活性化エネルギーに対する窒素の効果について、ガラス構造内の化学結合の共有結合性の変化の点から考察した。 第4章では、Na-Si-O-NおよびLi-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの化学的耐久性について述べた。 ガラス網目の化学結合の共有結合性およびガラス中のイオンの拡散に対する窒素の影響と、化学的耐久性の変化とを関連づけて考察した。 第5章では、Li-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの液-液相分離について述べた。 相分離に対する窒素の影響を、第3章で記述したガラス網目の共有結合性の変化と関連づけて考察した。 第6章では、Li-Si-O-NおよびLi-Al-Si-O-Nオキシナイトライドガラスの結晶化について述べた。 結晶化温度、析出結晶相、核形成機構について考察し、Li-Al-Si-O-N結晶化ガラスの密度、硬度、熱膨張係数について記述した。 第7章ではNa-Si-O-Nオキシナイトライドガラスと金属との相互作用について述べた。 ガラスと金属との反応性を、窒化珪素と金属との反応の熱力学に基づいて考察した。