高機能性無機繊維と非晶質財材の開発と利用に関する研究
-複合材料の製造とその物性-ゾルゲル法による炭化ケイ素ウイスカーシリカガラス複合材料の製造-

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鵜沼英郎/ 鈴木良和/ 尾形聡/ 山本強
1992年3月 北海道工業開発試験所報告 55,38-41

 セラミックスの高破壊靭性化を目的として,各種の単繊維や長繊維で補強したセラミックス複合材料の研究が行なわれている。 これらの中で,ガラスをマトリックスにしたものは,ガラスの持つ低熱膨張性や化学的耐久性を生かしながら,かつ良好な機械的性質を持たせ得るものとして期待がもたれている。 ガラスをウィスカーで補強した複合材料の製造方法としては,ガラス粉末とウィスカーを混合して焼結する方法,ウィスカー,ガラス粉末とコロイダルシリカを混合したものをもちいる方法,ウィスカーの表面を水熱酸化したものを焼結する方法等が報告されている。
 上記の他に,マトリックスをゾルゲル法で調製することによって,焼結性にすぐれたゲルマトリックス中にウィスカーを容易にかつ均一に分散させることが可能になり,ウィスカーの損傷も最小限になると期待される。 しかし,均質なガラスやセラミックスを調製する場合と異なり,ウィスカーなどを分散させたゲルの調製については,ウィスカーの分散,乾燥および焼結等に関した研究データが少ない。 本研究では,ゾルゲル法とHIP焼結によって炭化ケイ素ウィスカー(SiCw)/シリカガラス複合材料を作製する際のゲル調製および焼結条件について検討を行なった。 また,得られた複合材料の密度,破壊靭性および熱膨張係数について調べた。