高機能性無機繊維と非晶質財材の開発と利用に関する研究
-酸炭化系繊維の製造とその物性-酸炭化系繊維の性状とその構造-
下川勝義/ 関口逸馬/ 鈴木良和/ 矢部勝昌/ 植田芳信
1992年3月 北海道工業開発試験所報告 55,12-19
著者らは,これまでに天然鉱物あるいは天然有機物を原料としてセラミックスの合成を行ってきたが,その中で,ケイ素,酸素,炭素から成る無機繊維を見いだした。
この繊維は白色ないし淡青白色を帯びたスポンジ状で弾力性に富んでいる。
性状はアスペクト比が大きく平均直径が20〜40nm,長さ100μm以上,微結晶質であり,空気中で1100℃以上,不活性ガス中では1300℃以上の高温に耐え得る。
この繊維は親水性,親油性であり沸酸を含む強酸あるいは強アルカリに耐え得る特徴を有している。
この3元素から成る化合物に関しては,有機ケイ素ポリマーから炭化ケイ素繊維などの合成に於ける構造解析の中でSi-O-C結合としての報告はあるが,気相反応におけるSi・O・C化合物としての報告は見当たらない。
これらのことから,この繊維は新規性のある物質として考えられ,その特徴などについて,いくつかの知見を得たので報告する。