高機能性無機繊維と非晶質財材の開発と利用に関する研究
-酸炭化系繊維の製造とその物性-酸炭化系繊維の製造法-

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下川勝義/ 関口逸馬/ 鈴木良和/ 植田芳信
1992年3月 北海道工業開発試験所報告 55,1-11

 ケイ素を含む天然鉱物あるいは籾殻を原料とする各種セラミックの合成は,これまで多く試みられている。 一方セラミックス繊維は,繊維複合材料のマトリックス強化材として利用されている。
 著者らは,ケイ酸塩鉱物及び籾殻炭化物を原料としてセラミックスを合成する中で,気相反応によるケイ素,酸素,炭素の3元素から成るセラミックス繊維を見いだした。 この繊維は単なるSiC及びSiO2の混合物ではなく,SiCからSiO2に至る組成からなるSi-O-C系の物質であり,2層あるいは3層からなる複合傾斜構造を有する円柱状の形状をしたアスペクト比の大きな繊維であることが分かった。 しかし,この反応はSiC及びSi3N4の合成に類似していることが予想されるものの,これまではこの繊維を多量に合成することが困難なことから,生成条件を解明するまでには至らなかった。 そこで,本報告は繊維の生成率を高める幾つかの因子について検討した。 即ち,合成条件と反応生成物の性状との関係を明らかにし,さらに,反応生成機構についても検討した。