ポリスチレンの水素化分解

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広沢邦男/ 森田幹雄/ 三井茂夫
1992年7月 北海道工業開発試験所技術資料 14,32-32

 ポリスチレン樹脂廃棄物の処理方法の一つとして,無触媒下および塩化亜鉛存在下でポリスチレン樹脂の水素化分解をオートクレーブを用いて検討した。
 反応諸条件の検討と水素化分解生成物中の〜180℃留分(アルキルベンゼン類)を同定し,反応の進行にともなうガス,液状物への転化率とアルキルベンゼン類の量的変化から無触媒下ならびに塩化亜鉛下におけるポリスチレン樹脂の水素化分解反応経路を考察した。
 無触媒下におけるポリスチレン樹脂の水素化分解(反応温度400℃,反応水素圧100kg/cm2,反応時間3時間)では,90%以上がエタノール可溶成分に転化し,その大部分は液状物質である。 液状物質中の〜180℃留分量は,約60%でその主成分はエチルベンゼン(約60%),トルエン(約28%)であった。
 一方,塩化亜鉛存在下では,上記と同じ条件下でエタノール可溶分は95%と増え,〜180℃留分量も70%と増加した。 主成分はエチルベンゼン(約50%)とベンゼン(約40%)であり,無触媒の場合と比較して〜180℃留分中のベンゼン含量が顕著に増加した。