メラミン樹脂の水素化分解
広沢邦男/ 森田幹雄
1992年7月 北海道工業開発試験所技術資料 14,30-30
メラミン樹脂廃棄物の処理と有効利用に関する基礎研究の一つとして,金属酸化物(主に酸化ニッケル)の存在下でメラミン樹脂をメタンとアンモニアへ水素化分解するための反応条件を検討した。
メラミン樹脂の水素化分解反応は,約200℃から始まり,350℃では90%以上が分解された。
メタンやアンモニアなどのガス状物質への転化反応は,300℃以上の温度で急激に進行するようになり,反応温度が高い場合ほど増加した。
反応水素圧力も高い場合ほど分解は進行し,ガス状物への転化率も増加した。
酸化ニッケル存在下では,反応温度400℃,反応時間5時間で樹脂のほぼ100%が水素化分解され,このときの反応水素量は試料重量に対して14%,ガス状物への転化率は68%であり,37%のアンモニアと31%のメタンが生成した。
メラミン樹脂の水素化分解を,エタノール可溶成分,ガス状成分への転化率で表せば,反応の進行とともに両者とも,いったん増加するが,さらに反応が進行するとエタノール可溶成分は減少し,ガス状成分は一層増加している。
このことからメラミン樹脂は,一度エタノール可溶な部分水素化された低分子変成オリゴメラミン樹脂化合物に転化し,これがさらに水素化分解されてメタンとアンモニアに転化する逐次反応であると考察される。
水素化分解法によって,メラミン樹脂を効率的にアンモニアとメタンに転化でき,これらは再度利用可能なことが明らかになった。