ポリプロピレンの水素化分解
森田幹雄/ 中田善徳/ 広沢邦男/ 三井茂夫
1992年7月 北海道工業開発試験所技術資料 14,29-29
水素化分解法により,ポリプロピレン系廃棄物を再利用可能な製品へ転化するための基礎的検討を行った。
ガソリン留分中で分子構造が分枝状である炭化水素系成分は,耐ノッキング性に富むことが知られている。
ポリプロピレンは規則的な分枝状分子構造を持つことから,その水素化分解生成物の分子構造も分枝状に富んでいることが予測され,良質のガソリンとしての利用が期待される。
このような観点から,本研究ではポリプロピレンを接触分解して良質のガソリンへ転化することを試みた。
反応温度400℃,反応時間30分,反応圧力100kg/cm2のような比較的穏やかな水素化分解反応条件下でポリプロピレンはガスと液状物に水素化分解され,液状生成物は高いオクタン価を示すことが確認された。
これによりポリプロピレン系廃棄物を高オクタン価ガソリンに転化して再利用できることが分かった。
また,水素化分解生成物をガス成分,ガソリン成分,重質油成分に便宜的に分類してポリプロピレンの水素化分解過程を考察すると,逐次的な分解反応として整理できた。