木質系廃棄物のガス化とガス化発電の検討
三浦正勝/ 新川一彦/ 鈴木智
1992年7月 北海道工業開発試験所技術資料 14,25-25
木質系廃棄物を利用するガス化発電システムは経済性を持つことはかなり困難である。
しかし,石油資源が乏しく無電化部落の多い東南アジアなどでは,国の無電化部落の解消計画などのサポートがあれば実現が可能であり,国内においても立地条件によっては実現の可能性は高いものと考える。
本報告は,鋸屑やコプラミールなど南国産の木質系廃棄物を原料に,水蒸気によるガス化実験を行い,ガス化温度における生成ガス量,ガス組成および発熱量などを概観している。
さらに,空気をガス化剤とした場合の部分燃焼法による連続ガス化実験を行い検討している。
木質物質のガス化については,メタノール合成等による燃料油の製造,発熱量が約2,500kcal/Nm3以上のガス製造,高温状態で生成ガスを利用するものなどが報告されている。
ベンチ規模の流動層で木質系廃棄物を連続ガス化した結果,部分燃焼法による生成ガスの発熱量は低カロリーである。
しかし,加圧供給によってガスエンジンを起動でき,その駆動力によって発電して地域的なエネルギーとして使用できる可能性を認めた。
木質系原料から燃料ガスを生成する場合,ガス化装置の設計と安定運転に関しては,
(1) 流動化粒子の選択
(2) 空気比を0.1〜0.5で運転するのに必要な空気流量の制御とその流量で流動化状態を維持できる粒子径の選定
(3) 適正なガス分散器の設計と原料に適した供給器の設計
などが重要である。
特に,媒体に使用する粒子の選択を誤ると,クリンカーが発生して連続運転が不能となる。
水蒸気ガス化の生成ガスは,H2とCOが多く,部分燃焼法によるガスの2〜3倍の発熱量を示す。
鋸屑などの部分燃焼法による生成ガスの発熱量が,約1,100kcal/m3以上ではエンジンを補助燃料なしで駆動でき,その運転状態は良好であった。