鉄系触媒による石炭液化反応
小谷川毅
1991年5月 燃料協会誌 70(5),431-439
これまでのところ,鉄-硫黄系触媒は価格や量などの観点から石炭液化反応において最も実用的な触媒系であるとされている。
従って,その作用機構や活性に関する検討は液化プロセスの効率向上のために非常に重要な研究課題である。
著者らは反応系内に存在する水の触媒に対する挙動について調べ,触媒は高圧水素共存下にあっても系内の水によって容易に酸化されて硫酸根を生成することを見いだし,その生成機構を明かにした。
引き続いて,水素ガスおよびドナー水素共存下,原子価の異なる硫黄を助触媒とする鉄-硫黄系触媒によって歴青炭,亜歴青炭および褐炭の液化反応を行い,液化活性並びに改質反応における反応ガス,触媒および炭種の影響について検討してきた。
ここでは,これまでの結果を,水素消費量との関連において検討し直してこれらの石炭液化反応に対する影響を総合的に検討した。