Si-O-Cセラミックス繊維の合成

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下川勝義/ 関口逸馬/ 鈴木良和/ 矢部勝昌/ 植田芳信
1991年3月 平成3年度北海道開発工業試験所研究成果発表会要旨集 p15-17

 著者らは、ケイ酸塩鉱物あるいは天然有機物を利用したセラミックスの合成の中で、Si-O-Cの3元素から成る無機繊維を見いだした。 この反応は気相反応で起こり、繊維は反応温度1500℃付近から離れた1200℃付近の反応管壁にリング状に生成する。 そして管壁から反応管中心に向けて成長していく。 この繊維の外観は、白色ないし淡青白色を帯たスポンジ状で弾力性に富んでいる。 性状はアスペクト比が大きく平均直径が20〜40nm(5〜100nm)、長さ100μm以上、微結晶質であり、空気中で1100℃以上、不活性ガス中では1300℃以上の高温に耐え得る。 さらに、親水性、親油性であり、沸酸を含む強酸あるいは強アルカリに耐え得る持徴を有している。 この3元素から成る化合物に関しては、有機ケイ素ポリマーから炭化ケイ素繊維などの合成に於ける構造解析の中でSi-O-C結合としての報告はあるが、気相反応によって合成されたSi-O-C化合物の報告は見あたらない。 これらのことから、この繊維は新規性のある物質として考えられ、その特徴などについて、いくつかの知見を得たので報告する。