マウス肝水酸化酵素及び補助酵素の酵母内生産

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ

扇谷悟/ 合田孝子/ 石崎紘三/ 神力就子
1991年3月 平成3年度北海道開発工業試験所研究成果発表会要旨集 p9-11

 石炭液化油等に多量含まれている多環芳香族化合物は化字的に安定であるため、官能基の導入には多くのステップとエネルギーを要する。 しかし、ひとたび何らかの官能基が導入されると化合物の反応性は大きく上昇する。 このため、最初の官能基の導人反応は『ドア・ノブ反応(ドアの取っ手をつける反応)』とも呼ばれる。 したがって、この最初の反応をいかに効率よく行うかが多環芳香族化合物の有用物質への変換のキーステップとなっている。 我々は、このような多環芳香族化合物への官能基導入反応を37℃、1気圧という極めて温和な条件で行っているほ乳類動物の肝臓の水素化酵素に着目した。
 本研究では、この酵素に関する研究の中心技術として、遺伝子操作手法を利用した。 これは、水酸化酵素を大量に生産するには遺伝子組換え微生物を利用する必要があること、さらに、遺伝子操作により水酸化酵素をより高機能な酵素に変換することが可能であるなどの理由による。 昨年度の本研究発表会において、演者らはマウス肝からの水酸化酵素の遺伝子を単離したことを報告したが、本発表においては昨年度単離した水酸化酵素を酵母の中で生産することに成功したので以下に報告する。 また水酸化補助酵素の遺伝子の単離にも成功したので、併せて報告する。