レアメタル湿式製錬用剤の開発に関する研究
-N-ヘキサノイル-N-フェニルヒドロキシルアミンとトリトンX-100を用いるバナジウムのフローインジェクション分析-
中川孝一/ 緒方敏夫/ 原口謙策
1991年3月 北海道工業開発試験所報告 53,25-28
多くのフェニルヒドロキシルアミン(R-PHA)はバナジウム(V)と特異的な呈色反応をして紫色系に発色する。
このことを利用したバナジウムの抽出比色分析法がいくつか報告されている。
本研究の第3章で得たR-PHAについても予備実験の結果,そのほとんどがバナジウムと反応して紫色に呈色した。
そこで,本章ではN-ヘキサノイル-N-フェニルヒドロキシルアミン(C6-PHA)を用いるバナジウム(V)の定量分析法について検討した結果を述べる。
水に難溶な試薬やその錯体を利用する分析法の場合,通常溶媒抽出法を用いるが,溶媒抽出法は分離,濃縮には都合がよいが,操作が頻雑である。
最近水に難溶な試薬や錯体を界面活性剤ミセル水溶液に可溶化して擬均一溶液とし,溶媒抽出を必要としない比色分析法が広く用いられるようになった。
本研究では,このミセル可溶化法とフローインジェクション法とを併用して,バナジウム(V)の簡便,迅速な定量法の開発を図った。