レアメタル湿式製錬用剤の開発に関する研究
-長鎖アルキル置換フェニルヒドロキシルアミンによるランタニド(III)イオンの抽出分離-
緒方敏夫/ 中川孝一/ 原口謙策
1991年3月 北海道工業開発試験所報告 53,21-24
ランタニド金属(希土類金属)は水素吸蔵合金高性能磁性材料,高温超電導体あるいは化学触媒など,近年の先端技術材料の中心的役割を果たすものとなっている。
しかし,ランタニド元素相互の物理,化学的性質が酷似するため,その分離は困難であり,現在,工業的にはジ-2-エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)などを用いて抽出〜逆抽出操作を多段くり返して相互分離を行っている。
したがってより選択性に優れた抽出剤の開発が重要な課題となっている。
本章では本研究で新規に合成した長鎖アルキル基を導入したフェニルヒドロキシルアミン類(R-PHA)によるランタニド(III)イオン,M3+の抽出平衡を調べ,R-PHA類の抽出分離剤としての有用性を確認することとする。