シュレッダーダストの処理法及び有効利用に関する研究
-パイロットプラントの設計製作-
出口明/ 新川一彦/ 細田英雄/ 武内洋
1991年3月 北海道工業開発試験所報告 52,21-25
シュレッダーダスト流動ガス化装置の設計にとって留意すべきことは,ダストの嵩密度が非常に小さいので流動層内に安定な供給ができることと,ガス化残渣物中の細かな金属片,銅線などの層内蓄積により流動状態が粗害されるので,これら残渣物の排出機構が重要な設計の因子となる。
また,ダストのガス化によって発生する塩化水素(以下,HClと記す)は高濃度であり,発電用ガスエンジンを腐食させたり.
2次公害発生の源になるので脱塩化をはかる必要がある。
二酸化硫黄(以下,SO2と記す)も同様であり,この除去対策も課題である。
すでに著者らは,含油スラッジ廃棄物の処理と有効利用に関する研究の中で,SO2,HClの炉内同時吸収について検討しており,その結果,石灰石とコーラルリーフ(サンゴ礁石灰石)を流動化粒子として使用することにより両者を炉内である程度同時吸収できることを明らかにしている。
そこで,本研究においても石灰石およびコーラルリーフによるHClとSO2の炉内同時吸収除去法を課題にすることとし,ガス化条件と吸収除去率との関係を重要な研究要素の一つと位置づけた。
この場合,HCl,SO2吸収の最適温度は800℃付近なので,層温度は750〜850℃が操作範囲になる。
この温度領域はダストのガス化条件とも一致する。
これらの研究要素にもとづいて小型パイロットプラントを設計・製作した。