シュレッダーダストの処理法及び有効利用に関する研究
-シュレッダー設備の現状と問題点-

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新川一彦/ 出口明/ 細田英雄/ 武内洋
1991年3月 北海道工業開発試験所報告 52,1-5

 廃車増加に伴って昭和40年代半ばから「廃車公害」が叫ばれるようになり,公害防止,環境保全,資源リサイクルの観点から適正な処理対策の確立が望まれるようになった。 米国では,1958年頃大都市近郊に廃車が発生し路上放棄が大きな社会問題となったため,社会環境保全と資源リサイクルを目的として,シュレッダーによって大量破砕処理をする,いわゆるシュレッダー事業が誕生した。 一方,わが国の鉄屑処理業界に初めてシュレッダー処理方式が導入されたのは昭和45年であり,関東地区でスタートした。
 シュレッダーが普及する以前の処理方式は,できるだけ不純物を取り除いた状態でプレスまたはシャーリング処理し製鋼原料として電炉メーカーへ納入されていたのがほとんどであった。 しかし,手作業による除去では不純物を十分に分別できないため内蔵された可燃性不純物が電炉メーカーの電気炉で燃焼し,大量の媒塵,有害ガスが発生する。 その結果,電炉メーカーは多くの公書防止設備費,エネルギーコストの負担を強いられた。 昭和53年頃から,折からのエネルギーコストの高騰で電炉メーカーは不純物の少ない原料鉄屑を選択する傾向を強め,クリーンなスクラップを産出できるシュレッダー化が一気に促進された。