2段接触分解によるポリエチレン廃棄物の油化

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

斉藤喜代志
1991年3月 北海道工業開発試験所報告 51,29-46

 油化装置の研究開発は,昭和40年代後半に盛んに行われたが,当時の方法は,熱のみによる分解であり,製品は常温でワックス状で悪臭があり,また反応器中にカーボン生成トラブルなどの問題があり,その後の進展は見られなかった。
 その後,ポリエチレンの熱分解については,少量の試料を用いて熱分解機構・分解速度などを知る基礎研究が行われ,近年,再資源化の観点から槽型反応器を用い比較的多量のポリエチレンを熱分解し,生成物の組成,分解速度などを検討した報告がなされた。
 しかし,上述した場合と同様にポリエチレンを熱分解のみで油化する場合には,生成油が重質であること及び槽壁へのカーボン付着によるトラブルを避けることができなかった。
 本研究は,ポリエチレンから高品質の燃料油を高収率に得ることを目的に行ったものであり,その結果天然ゼオライトを触媒として用いる新しい方法を開発した。 この方法ではカーボントラブルも発生しなかった。 本研究に用いた装置はベンチスケール規模の2段接触分解装置を新たに考案したものであり,処理量,生成物特性,分解反応挙動,触媒効果を検討し,反応機構を明らかにするとともに,実装置設計のための基礎データを取得した。 さらに,本装置の熱バランス,オフガスの熱源としての利用法についても検討した。