三相流動層の流動状態と層内輸送現象

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北野邦尋/ 池田光二
1991年3月 北海道工業開発試験所報告 51,1-14

 流動層技術の歴史は長く,当所においてもこれまでに基礎的なものから応用まで,多様な研究がなされてきた。 当初“流動層”とは,主として固体粒子を気体によって“流動化”する装置に対して用いられ,その中でも特に,粒子のいわゆる“濃厚”な層が存在する系に対する呼称として用いられてきた。 しかし,研究の進展に伴って,その定義する範囲は次第に拡大し,高速流動層や振動流動層等も流動層技術の範疇に加えられる様になってきている。 この中にあって近年“三相流動層”が流動層技術の新しい展開として,注目されるようになってきた。
 ここで“三相”とは気体,液体,固体のことで,これら各相間での接触,反応あるいは各相間での物質移動を伴う反応器が,三相反応器と呼ばれている。 その工業的応用例には,石炭の液化,重質油の改質,発酵操作,廃水処理等があり,今後も更に広範な分野での応用が期待されている。 三相反応器の形式は各々の相の接触状態や流動状態の組合せで色々な形態が考えられ,その分類法や呼称も必ずしも統一されているとは言えない。 本総説では三相反応器の中から主として三相流動層(気液固流動層と呼ばれることもある)を取上げその流動状態,層内輸送現象,混合について著者らの研究結果をも含めて概観する。