エスカ(X線光電子分光装置)

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矢部勝昌
1990年7月 北海道通産情報 45(7),52-53

 今月はエスカと言う名前の分析装置をご紹介します。 エスカと言うのは実はあだ名で,本名はX線光電子分光装置(または英語略称XPS)と言います。 1950年代の後半にスエーデンのカイ・ジーグバーンは,それまで主に原子核の研究で利用されていた電子測定法を利用して光電子(物質の光やX線を当てて放出される電子)を観測し,それによって物質中の元素分析ができることを見いだしました。 そして,彼はこの方法にElectron Spectroscopy for Chemical Analysisの頭文字をとってエスカ(ESCA)と名付けたのです。 生みの親の付けた名ですからこちらが本名とも言えますが,他の名前にくらべていかにも変わっているので最近はXPSの方を使う人が多くなっています。 ちなみに,彼はこの方法を開発した功績でノーベル賞を受けました。 彼の父も原子核研究の方面でノーベル賞をとっていますので輝かしい血筋の上に生まれた申し子と言えます。