循環流動層の基礎と熱交換器への応用

問合わせ ひとつ戻る DB入口へ トップページへ PDF(イメージ)を見る

武内洋
1990年3月 北海道工業開発試験所報告 50,99-114

 循環流動層には,乱流流動層,高速流動層および希薄輸送層の3つの流動状態があるが,本稿では循環流動層を論ずるに当たっては避けられない“高速流動化状態とは?”という問題に対し,実験結果をもとにその流動特性について考察する。
 これとは別に筆者らは,無着霜型流動層熱交換器の研究をすすめてきた。 この研究の背景は次のようなものである。 本州で用いられている空気熱源式ヒートポンプを積雪寒冷地で利用する場合,冷媒蒸発器表面に空気中の水蒸気が凝結し着霜する。 その結果,伝熱係数が低下するばかりか,成長した霜が空気の流路を塞ぎ,採熱は不可能となる。 空気以外の天然の熱源としては,地表水,地下水あるいは海水といった水熱源と地熱源とがあげられる。 しかし,両者とも利用できる地域が限られており,熱源としての一般性は薄い。 したがって,無着霜状態での空気採熱技術の確立が,寒冷地における空気熱源式ヒートポンプの普及のためにも必要となる。
 筆者らは流動層熱交換器内に冷媒蒸発器を挿入し,層内の粒子運動による除霜実験を行った。 その結果,流動層熱交換器には除霜能力はあるが,粒子の選択を適切に行わなければかえって着霜をひきおこしてしまう場合もあることがわかった。 しかも流動層を運転するには一般にかなりの動力が必要である。
 そこで,循環流動層の特徴を利用して流動層より圧力損失が小さく,着霜が生じにくい粒子循環型熱交換器を開発し,その流動,伝熱および除霜特性について検討した。